
●コウジ有沢 9RKO ○畑山隆則
<試合前の私の独断コメント>
コウジ有沢VS畑山隆則、まずは両ボクサー、両陣営に拍手。
日本タイトルマッチとしては異例の盛り上がり、会場もホールを飛び出して両国国技館。弥が上にも期待に胸躍らせてしまう。
今までにもマーク堀越VS高橋ナオト、上山仁VS吉野弘幸(ノンタイトル)、赤城武幸VS渡辺雄二、そして先日の松倉義明VS名護明彦など日本人同士の(国内レベルの)ワクワクする対戦はあったが、今回の一戦はそれらを上回るほど注目され、そして二人の激闘を期待してしまう。
形式的には日本王者のコウジに畑山が挑戦する形だが、「格」的にはチャレンジャーが上で、コウジは王座の防衛以上に畑山の持つ「世界ランク」の奪取と、それと共に「世界挑戦権」の獲得を目論んでいる。コウジに比べて畑山は得るものが少ない様に思うが、それでも「かませ犬ではやる気が出ない」「強い相手とやりたい」と言う畑山の“男気”には敬意を表したい。また世界戦後の再起第一戦に危険なファイターとぶつけるマッチメークには敬服し、その向う見ずさにも驚かされる。
この対戦でどちらが勝ち、どちらが負けるかは勿論分からないが、何れにしても両選手にとって(たとえ今回苦汁を舐めたボクサーも)実績、キャリアを考えればプラスの作用があるだろうし、そうあってほしい。
前置きが長くなったが、この対戦の展望を予想すると、一発のパンチ力を比較すればコンジに軍配が上がるだろう。しかし、畑山も決してパンチが無い訳ではなく、要するにどちらのパンチが当たるか?と言う事になる。そう考えると明らかにコウジは被弾し過ぎる、今までの対戦者でも貰っているのだから畑山にも貰うだろう。「世界レベル」の相手に対してパンチを貰い過ぎるのは致命傷に直結する。従って、KOで畑山が勝利を手中にするのではないだろうか?
コウジが勝つとすれば、畑山よりも早く強打が炸裂した場合以外考え難いが、格上の相手に対してベストのパンチを打ち込み、そして捕らえるのは極めて難しい事だと思う。
ファン垂涎のカードだけに、二人には最高のコンディションでリングに上がって、己の力を発揮してほしい。
<試合後の考察>
まず二人の勇敢なファイターに拍手を贈りたい。
正直、コウジ有沢がこれほどやるとは思っていなかった。何よりも「勝つんだ!」だと言うボクサーに最も必要な気迫が見る者にも伝わってきた。また、これを真正面から受けてたった畑山も実に立派。本来の畑山のスタイルからすると、少々正直過ぎる様にも思えたが、それをさせるコウジの気迫と畑山の器の大きさを感じた。
試合自体は終始畑山がコントロールしていたが、それでも時折放つコウジのブローは強力で、実にスリリング。技術的には畑山が一枚、二枚上に感じられたが、コウジには(何度も言うが)それを突き破るだけの気迫が感じられた。
この試合は戦術、技術は置いておいて、二人の男の「決闘」だった様に思う。そして、一人は散った訳だが、何も恥じる事はない。そして、決してこの敗戦が無駄ではなかったと証明される時が、近い将来来るはずだ。
勝者の畑山は、本人もリング上で言っていたが、目指すものは「世界」、今度こそその世界一の証を腰に巻いてほしい。
それにしても、最近はボクシングファンが泣いて喜ぶ対戦が増え、そして感動する試合も増えた。辰吉VSシリモンコン戦で久しぶりに涙したが、今回も目頭が熱くなった。今度は畑山の戴冠シーンで目を赤くしたいものだ。