97年11月12日 WBC世界フライ級タイトルマッチ(札幌・月寒グリーンドーム)
●勇利アルバチャコフ 判定12R ○チャッチャイ・ダッチボーイジム
<試合前の私の独断コメント>
今回のチャッチャイとの対戦は、勇利の肉体的な衰えと1年ほどのブランクを理由に苦戦必至の声をたびたび耳にするが、私はそうは思わず、むしろ楽観視している。勇利の決まり文句の「ノープロブレム」、勇利が万全の体調でリングに上がる事が出来ればまさに「ノープロブレム」心配はいらない
勇利も人間の肉体を持つ以上、「時」という最大の敵の力に抗う事は出来ないが、周囲が囁くほどに衰えているとは思えないし、またこの優秀なロシア人は、「時」に肉体的な隆盛を脅かされる代償として、補って余りあるほどのキャリアを身に付けて来た。もともと勇利は力で相手を圧倒するタイプではなく、針の様に鋭角的な右を中心としたコンビネーションブローを主武器に相手を仕留めるボクサーだったので、パワーヒッターにありがちな急に老け込む事はない。それよりも、先に述べたがアマチュア時代を含めて、数々の修羅場を潜り抜けてきた経験が、老獪な技巧と形をかえて若干の戦闘力低下を補っている。ブランクについても、勇利ほどのボクサーにとって然したる影響があるとは思えない。むしろ長年戦い続けてきた勇者にとって絶好の休息になったのではないか?但し、ブランクの心配は皆無に等しいが、拳の完治具合は不安材料ではあるが...
チャッチャイは確かに最近成長著しく、全体的によくまとまっているが、勇利を破るには攻撃力にやや欠ける様に思われる。中差の判定で勇利の防衛が濃厚か!?
<試合結果の考察>
まず最初に言えるのは、チャッチャイにとって素晴らしい内容だった。なによりも「ハート」があった。2年前に勇利に敗れた悔しさがチャッチャイをこんなにも、予想出来ないほどに強く、逞しく成長させたのか。
試合開始から勇気を持って勇利に挑み、果敢にパンチの引き際を狙って、そして的確に捕らえていった。2年という歳月を勇利を研究する時間に充て、戦略的にも実に見事だった!
勇利はこのチャッチャイの先制攻撃で慌て、ペースを手放してしまった。また、この日の勇利は今までの様なシャープで力強い攻守が見られず、常に劣勢に立たされた。チャッチャイの出来が良過ぎた事もあるが、それにしても今までの勇利の試合からは考えられない内容。(負ける時はこんなものかとも思うが)
戦前はブランクの影響や視力低下が心配されていたが、これほどまでの惨敗を目の当たりにすると、何かトラブルを抱えているのではないかと疑いたくもなる。しかし、1ファンとして、ボクシングに耐えうる体調で、モチベーションも持続出来るなら、リング上で勇利の勇姿をまた見たい!
それにしても試合前の私の予想とは正反対の結果だった。(笑)